和菓子の老舗・福壽堂秀信──本物を貫く志と伝統
創業の想いと屋号に込めた願い
福壽堂秀信は1948年、大阪・宗右衛門町にて創業いたしました。雪の中で花開く福寿草に願いを託し、屋号には「福が無量の海のごとく広がるように」との祈りを込めました。「福壽」の名は、観音経にある「福聚海無量」にも由来しています。
商標「花車」に宿る美意識
商標である「花車」は、伊勢神宮外宮に伝わる「刺車文」に牡丹文をあしらった意匠です。和菓子の美しさと華やかさを象徴するものであり、富貴の花姿に日本の美意識を映し、広く世に届けたいという想いが表されています。
和菓子とは何か──米・味噌・醤油の系譜
和菓子は「米・味噌・醤油」に連なる日本食の文化の中で育まれてきました。また、茶道と共に研鑽を積むことで、味・姿・香りすべてにおいて洗練されてきたものです。
福壽堂秀信の和菓子は、茶と調和する味わい、季節の風景を映す意匠、そして「本物」であることを何より大切にしています。
受け継がれる精神と職人の精進
創業の地である宗右衛門町は、文楽や舞踊など浪花文化が花開く花街でした。その格式ある風土において、和菓子もまた、芸のひとつとして捉えられていたのです。和菓子屋としての矜持と技術、五感に訴える菓子作りが、今日まで脈々と受け継がれています。
名誉ある歩みと「秀信」の名
福壽堂秀信は、全国菓子博覧会において内閣総理大臣賞をはじめとする栄誉ある賞を受賞し、京都御所への上生菓子献上も拝命いたしました。1958年には、宮内庁京都事務所の石川忠所長より「秀」の字を賜り、正式に「福壽堂秀信」の名が誕生しました。
結びに
福壽堂秀信の名には、「福」=天与の恵み、「壽」=長寿と喜び、「堂」=人が集まる場、「秀」=技術に秀でる、「信」=信頼の心が込められています。この名を胸に、私たちは今後も本物の和菓子作りに誠実に向き合い続けてまいります。